3D-OWLって何?

■ 3D-OWL (3D-Operation with Learning): 
製品設計・開発時に短時間での形状に伴う性能評価を目的として開発された、機械学習によるサロゲートモデルです。

従来のCAE解析データを『学習データ』として学習し、その学習結果から未知の形状に対する予測を短時間で行えます。
これにより、CAE解析に要したモデリング、メッシュ分割、行列計算などの手順を経ることなく、実際の解析結果に極めて近い予測値を得ることができます。

3D-OWLは、3次元形状をDepth Mapと呼ぶユニークな技法を用いて特徴量に変換し、固定的な形状変数に捕らわれず、自由な形状表現への評価を可能にします。

機械学習のアプローチ

機械学習の学習データは、特徴量とそれに対応するラベルの組み合わせから成るデータセットです。モデルはそれらのデータを用いて学習を行い、特徴量とラベルの関連性を理解します。学習データの質や量はモデルの性能に大きな影響を与えます。
3D-OWLでは、特徴量としての形状データを扱えるだけでなく、Depth Mapにより精度をコントロールできるのも魅力の一つです。

3D-OWL:

■  使用アルゴリズム

  • 機械学習エンジン   :拡張ガウス過程
  • 3D形状認識エンジン :Depth Map

■  [入力] 学習データ

【特徴量】

  • 形状データ :ファセットデータ(STL, Nastran フォーマット)
  • 形状変数 など

【ラベル】

  • 評価値(各データポイントに対する正解の値)
  • 分布図(解析結果:スカラー量分布図)

■ [出力] 予測値

  • 予測値(各データポイントに対する評価値)
  • 分布図(スカラー量分布図)
~ システムイメージ ~

活用シーン

製品設計における性能評価は、試作・実験から、数値計算やシミュレーションによる評価へと、コンピュータやソフトウェアの進化と共に変わってきました。
更なるコストと時間の削減を促進すべく、効率的な設計プロセスが検討され続けています。

3D-OWLによる機械学習は、これまで積み上げられてきた解析データや実験結果を活用し、高コストな解析やプロセスを代替するモデルです。
元の関数やプロセスを適切に近似することで、高速に予測をすることができます。

一般的な機械学習システムと異なり、3D-OWLの持つ特長から下記のような用途にご活用頂けます。

"超"高速解析予測

スパコン規模の解析をノートパソコンであっという間に学習分析・評価予測が行えます。
また、ニューラルネットによる機械学習エンジンと比較して、低コストな環境(H/W、時間)でご利用頂けます。


インタラクティブな仮想実験

APIを用いることで、3次元CADやモデラー上での形状変更に伴う評価値の変化(3D-OWLを意識することなく)を、随時得ることができます。

これにより、目的である評価値を予測できるだけでなく、特徴量として流れ場の描画をカップリングすることで、予測した流れ場を可視化することができます。

かつて実験で習得してきた設計上のセンスやスキルを、インタラクティブに試行錯誤が可能な機械学習で補うことが期待できます。

設計ノウハウをデジタルアーカイブに格納・活用

形状変化量をノンパラメトリックに扱うことにより目的値(評価値)に寄与する内在的な本質を自動的に抽出することができます。
また、これまでの設計に用いられてきた形状の変化量を視覚的に捉えることができ、先人の知見やアイデアを学びながら活用できます。